
血液検査で抗CCP抗体の値が高いと言われました。



抗CCP抗体はリウマチの診断だけでなく、治療方針を決める上でも大切な検査項目です。
抗CCP抗体は環状シトルリン化蛋白(CCP:cyclic citrullinated peptide)に対する抗体で、関節リウマチ発症に関わる免疫グロブリンです。関節リウマチを疑った時に、リウマチ因子とともに測定される血液検査項目です。
関節リウマチを診断する上でリウマチ因子よりも正確な検査ですが、抗CCP抗体陽性だけでリウマチと診断できるわけではありません。
- 抗CCP抗体は、関節内の滑膜で炎症をおこす自己抗体です。
- 抗CCP抗体は、遺伝的な素因にくわえ、歯周病や喫煙などの生活習慣が影響して作られます。
- 抗CCP抗体は、リウマチ因子(RF)より特異度が高い検査です。
- リウマチの診断は抗CCP抗体の結果だけでなく、問診や身体診察、血液検査、画像検査で総合的に判断します。
1. 抗CCP抗体とは


抗CCP抗体は、環状シトルリン化蛋白(CCP:cyclic citrullinated peptide)に対する抗体で、関節リウマチ発症に関わる免疫グロブリンです。
カラダの構成要素であるタンパク質は、20種類のアミノ酸が様々な配列によって作られています。このアミノ酸にはタンパク質やペプチドとして存在するもの以外に、単独で存在する遊離アミノ酸というものがあります。
アルギニンと呼ばれるアミノ酸は、酵素などの影響でシトルリンというアミノ酸に変化することがあります。
このシトルリンは遊離アミノ酸のひとつであり、本来はタンパク質中には存在せず、シトルリンを含んだタンパク質を特にシトルリン化蛋白と呼びます。
本来存在しないシトルリン化蛋白が体内に慢性的に生じた場合、一部の人では自己免疫反応が引き起こされてこのシトルリン化蛋白に対する抗体が作られる場合があります。
抗CCP抗体は、このシトルリンというアミノ酸を含んだタンパク質に対する抗体(自己抗体)です。
2. 抗CCP抗体とリウマチの関係
2-1. 抗CCP抗体が作られる原因




体内で慢性的にシトルリン化蛋白が作られる原因に、歯周病とタバコがあります。歯周病の菌やタバコの煙によって作られたシトルリン化蛋白(CCP)に対して、抗CCP抗体が作られます。
歯周病や喫煙している全ての人で抗CCP抗体が作られるわけではなく、特定の遺伝子を持つ人に生じやすいといわれています。
2-2. リウマチ発症との関係


関節内のクッションの役割をしている滑膜では、ケガや感染症などをきっかけにシトルリン化蛋白が生じることがあります。
抗CCP抗体が体内に作られていると、滑膜に存在するシトルリン化蛋白に抗体が結合し、炎症が起こります。
その炎症が持続することで、リウマチを発症すると考えられています。
3. 抗CCP抗体の特徴


抗CCP抗体は、リウマチを診断する上で重要な血液検査項目の一つです。
手のこわばりや関節の痛み、腫れがある方やリウマチ因子が陽性の場合、必ず確認します。
- リウマチ因子より正確な検査
- リウマチ患者の約80%が陽性
- 発症初期では約50%が陽性
- リウマチの発症を予測
- 骨破壊の進行が速い
- リウマチ以外の病気でも陽性になる
3-1. リウマチ因子より正確な検査


抗CCP抗体は、リウマチの診断ではリウマチ因子(RF)より特異度が高い検査です。
特異度が高いとは、その検査が陽性であればその病気を持っている確率が高いことを意味します。
リウマチにおける抗CCP抗体の感度は60~80%、特異度は90~95%と言われています。
一方、RFの感度は70~80%、特異度は80〜90%と言われています。
つまり、関節の症状がある場合、RF陽性よりも抗CCP抗体陽性の方がリウマチの可能性が高いということです。
リウマチを疑ったら、RFだけでなく抗CCP抗体も確認してもらいましょう。


3-2. リウマチ患者の約80%が陽性


抗CCP抗体は、リウマチ患者さんの約80%で陽性になります。逆に言うと、リウマチ患者さんの約20%(10人中2人)は抗CCP抗体が陰性です。
つまり、「抗CCP抗体が陰性だからリウマチではない」とは言えません。
関節のが続く場合は、抗CCP抗体が陰性であっても超音波やMRIなどの画像検査などで調べてもらうようにしましょう。
3-3. 発症初期では約50%が陽性


リウマチの発症初期での抗CCP抗体の陽性率は50%(2人に1人)と低く、抗CCP抗体の結果だけでは発症初期のリウマチを見逃してしまうことがあります。
関節の症状が気になり血液検査をしたところ、抗CCP抗体が陰性だったからリウマチではない、と安心することはできません。
血液検査の結果だけで判断せずに、診察や超音波、MRIなどの画像検査を組み合わせてリウマチを診断する必要があります。
3-4. リウマチの発症を予測


抗CCP抗体が陽性の場合、検査の時点で関節症状がなくても、その後リウマチを発症することがあります。
将来のリウマチの発症率は約15%(6人中1人)であり、 RFも同時に陽性の場合は約30%(3人中1人)と報告されています。
3-5. 骨破壊の進行が速い


抗CCP抗体が陽性の場合、リウマチの進行が速く、関節の破壊や変形が起こりやすいと報告されています。これを予後不良因子といいます。
抗CCP抗体陽性(特に高値)はRF陽性とともに、リウマチの予後不良因子の一つです。
関節の破壊や変形を予防するために、生物学的製剤やJAK阻害薬などの効果の高いリウマチ薬が必要になるかもしれません。
3-6. リウマチ以外の病気でも陽性になる




抗CCP抗体は特異度が高く、陽性の場合はリウマチの可能性が高いのですが、リウマチ以外の病気でも陽性になります。
抗CCP抗体が偽陽性になる病気には、他の膠原病や感染症などがあります。
特に、結核はRFも抗CCP抗体も陽性になりやすいので、リウマチと間違いやすく注意が必要です。咳や痰、微熱などの症状がないかチェックします。
また、乾癬や全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群などは抗CCP抗体が陽性になることが知られています。
関節の症状がリウマチによるものか、他の膠原病によるものかを判断するには、レントゲンや超音波、MRIなどの画像検査を行う必要があります。
疾患 | 抗CCP抗体の陽性率 |
---|---|
膠原病 | |
乾癬性関節炎 | 8.6 % |
全身性エリテマトーデス | 8.4 % |
シェーグレン症候群 | 5.7 % |
血管炎 | 4.7 % |
脊椎関節炎 | 2.3 % |
感染症 | |
結核 | 34.3 % |
B型、C型肝炎 | 0.6〜3.5 % |
引用元:Dis Markers. 2013; 35(6): 727-734
4. リウマチを調べるにはリウマチ科へ


以上のように、リウマチを診断する上で、抗CCP抗体の結果の解釈には注意が必要です。
リウマチだけでなく、他の膠原病や病気の知識のあるリウマチのスペシャリスト「リウマチ科・膠原病内科」を受診すると安心ですね。
4-1. 関節症状がない場合


- 診察や血液検査、画像検査で関節に炎症がないことを確認します。
- 関節炎の所見がなければ、現段階では「リウマチではない」と安心して良いでしょう。
- 念のため、結核やリウマチ以外の膠原病がないかも確認します。
- ただし、将来リウマチを発症する可能性があるので、関節症状を自覚したら病院を再受診しましょう。
4-2. 関節症状がある場合


- リウマチの可能性が高いので、診察や超音波、MRIなどの画像検査で詳しく調べます。
- 念のため、乾癬やリウマチ以外の膠原病がないかも確認します。
参考文献
最後まで読んでいただきありがとうございました。リウマチや血液の病気などの別の記事も参考にしていただけると幸いです。お疲れ様でした。

