
サラゾスルファピリジンという薬が始まりました。
どんな薬なのかな?



サラゾスルファピリジンはよく使われるcsDMARDsですね。
csDMARDsとは、関節の炎症を抑え、変形を止めてくれるリウマチの内服薬です。メトトレキサート以外にも、色々な種類のcsDMARDsがあります。
この記事を読めば、MTX以外のリウマチ薬(csDMARDs)の特徴や副作用、気をつける点などがわかると思います。
- リウマチの内服薬(csDMARDs)は、関節の痛みや腫れ、変形を抑えてくれるリウマチの治療薬です。
- csDMARDsには、メトトレキサート以外にもいくつか種類があります。
- MTX以外のcsDMARDsは、合併症や妊娠のためにMTXが使えない場合に使われます。
- MTX以外のcsDMARDsは、MTXを適切な量まで増やしても関節痛や腫れが残る場合にも、併用して使われます。
1. リウマチの内服薬(csDMARDs)について
リウマチと診断されると、関節の痛みや腫れ、変形を抑えるためにリウマチの薬が開始されます。リウマチ薬の中で、昔から使われているリウマチ薬を「csDMARDs」といいます。
- リウマトレックス®︎(メトトレキサート:MTX)
- アザルフィジン®︎(サラゾスルファピリジン:SASP)
- ケアラム®︎(イグラチモド:IGU)
- プログラフ®︎(タクロリムス:TAC)
- リマチル®︎(ブシラミン:BUC)
リウマチ治療は、csDMARDsの中で最も効果の高いメトトレキサート(MTX)で治療が開始されます。
しかし、以下に当てはまる方はMTXが使えないので、MTX以外のcsDMARDsで治療を開始することになります。
〜 MTXが使えない人 〜
- 妊娠や授乳中




- 肺の病気
- レントゲンでわかる肺の病気(間質性肺炎や肺線維症など)
- 在宅で酸素を使用中




- 肝臓の障害
- 急性のB型、C型肝炎
- 肝硬変
- AST/ALT 正常上限2倍以上


- 腎臓の障害
- eGFR<30 mL/min/1.73m2
- 目安のクレアチニン値:男 >2.0 mg/dL、女 >1.5 mg/dL
- 透析中
- eGFR<30 mL/min/1.73m2




- 胸水・腹水の貯留
- 重大な感染症
- 細菌感染、活動性結核や非定型抗酸菌症など


- 血液の病気
- 骨髄異形成症候群や再生不良性貧血、リンパ増殖性疾患など


- 血液検査の異常
- 白血球<3000/μL、血小板<5.0万/μL
2. MTX以外のcsDMARDsの適応


MTX以外のcsDMARDsは、MTXが使えない人に開始されます。
また、MTXで治療をしていても効果が不十分な場合に、MTXに併用して使う場合もあります。
- MTXが合併症や妊娠のため使えない
- MTXを適切な量まで増やしても関節痛や腫れが続いており、費用の高い生物学的製剤やJAK阻害薬が使えない
csDMARDsはそれぞれ異なる特徴があるので、患者さんごとに使い分けています。
3. アザルフィジン®︎(サラゾスルファピリジン)




- 特徴
- 安定した効果と少ない副作用で誰にでも使いやすい薬
- メリット
- 肺の病気を合併している人、妊婦さんにも使いやすい
- 抗菌作用と抗ニューモシスチス作用で感染症の予防に役立つ
- デメリット
- 錠剤が大きく飲みにくい
- 内服開始 1ヶ月以内のアレルギー反応(発熱、皮疹、肝障害)に注意
- 参照:アザルフィジンENを服用される方へ
① どんな薬?
サラゾスルファピリジンは免疫調整薬であり、感染症の心配が少ない薬です。もともとは潰瘍性大腸炎という、腸に炎症をおこす病気の治療に使われていました。
間質性肺炎の発症や増悪の報告はほとんどないため、肺の病気を合併している人も使いやすい薬です。また、妊娠中や授乳中でも安全に使えます。
サラゾスルファピリジンは抗菌作用と抗ニューモシスチス作用(ニューモシスチス:カビの一種)の成分を含むため、リウマチ薬としてだけでなく、感染症の予防にも役立ちます。
ニューモシスチス肺炎とは


ニューモシスチスとはカビの一種です。免疫抑制剤やステロイドを長期間内服している免疫力の低下した人に肺炎を起こします。
そのため、免疫力の低下した人はニューモシスチス肺炎にかからないように、バクタ®︎やダイフェン®︎といった抗生剤を予防的に内服します。
② 効果
比較的早く、1〜2ヶ月で効果があらわれます。
③ 副作用
気をつけいないといけない副作用にアレルギー反応があり、発熱、皮疹、肝障害などを起こします。開始1ヶ月以内におこることが多いため、熱が出たり、皮膚にブチブチが出たら内服を中止して病院を受診しましょう。
他にも、吐き気や下痢などの消化器症状、血液障害、日光過敏症などがあります。
④ 用法
まずは、1回 500mgを1日1回から少量で開始します。
2〜4週間後にアレルギー反応がないことを確認し、1回 500mgを1日2回に増量します。
サラゾスルファピリジンは柿の種?


サラゾスルファピリジンの500mg錠はお菓子の「柿の種」のように少し大きいので、ご高齢の方は飲み込みにくいかもしれません。
その場合は、小さいサイズの250mg錠で処方することも可能です。飲みづらい時は先生に相談してみましょう。
4. ケアラム®︎(イグラチモド)




- 特徴
- 抗リウマチ作用と鎮痛作用を合わせ持つ薬
- メリット
- 早期に痛みを和らげる
- デメリット
- 鎮痛剤との併用に注意
- 妊婦さん、消化管潰瘍の治療中、ワーファリン内服中、重い肝障害の人は使ってはいけない
- 参照:ケアラムを服用される方へ
① どんな薬?
イグラチモドは免疫調整薬で、感染症の心配が少ないお薬です。効果も安定しており、サラゾスルファピリジンと同等の効果と報告されています。
イグラチモドは、セレコックス®︎などの鎮痛剤と同じ抗炎症鎮痛作用があるため、早期に痛みを和らげてくれます。
下記に当てはまる方はイグラチモドが使えないので内服前に確認しましょう。
イグラチモドが使えないケース


- 妊婦さん
- 赤ちゃんへの影響の可能性があるため
- 消化性潰瘍の治療中
- 胃潰瘍や十二指腸潰瘍が悪化する可能性があるため
- ワーファリン内服
- 併用すると重篤な出血をおこす可能性があるため
- 重篤な肝障害
- 肝臓に負担がかかりやすいため
② 効果
比較的早く、2〜4週間で効果があらわれます。
③ 副作用
主な副作用は肝障害、血球減少、消化性潰瘍、間質性肺炎などがあります。
④ 用法
まずは1回25mgを1日1回から少量で開始します。
1ヶ月後に血液検査で副作用(肝障害、血球減少)がなければ、1回25mgを1日2回に増量します。
5. プログラフ®︎(タクロリムス)




- 特徴
- 他のリウマチ薬とは違う作用を持つ免疫抑制剤
- メリット
- 妊婦さんや授乳中、肺に病気がある方でも安心して使える
- 1日1回の内服で飲みやすい
- デメリット
- 特有の副作用(感染症、腎障害、高カリウム血症、消化管障害(腹痛、下痢)、血糖上昇、手の振え)に注意
- 参照:タクロリムスを服用される方へ
① どんな薬?
タクロリムスは、カルシニューリン阻害薬という免疫抑制剤です。臓器移植や全身性エリテマトーデスなどにも幅広く使われています。
他のリウマチ薬とは異なる作用があるので、併用して使ったりもします。
妊婦さんや授乳中、肺の病気を合併している人でも安全に使えます。
② 効果
比較的ゆっくりで、1~2ヶ月で効果があらわれます。
③ 副作用
主な副作用は感染症、腎障害、高カリウム血症、消化管障害(腹痛、下痢)、血糖上昇、手の振えなどがあります。
副作用を防ぐために、定期的な血液検査でタクロリムスの血中濃度を確認する必要があります。
④ 用法
1回3mgを1日1回夕食後に内服します。ご高齢の方は1.5mgから開始し、ゆっくり増量します。
その後はタクロリムスの血中濃度を確認しながら、副作用が出ないように調整します。血中濃度の目標は5〜10 ng/ml(トラフ値:薬物の濃度の最低値、内服直前の濃度)です。
7. リマチル®︎(ブシラミン)
① どんな薬?
ブシラミンは免疫調整薬で、感染症の心配が少ないお薬です。単剤で使ったり、MTXに併用したりして使われます。
下記の方はブシラミンが使えないので内服前に確認しましょう。
ブシラミンが使えないケース


- 妊婦さん
- 赤ちゃんへの影響の可能性があるため
- 腎機能障害
- 腎機能が悪化する可能性があるため
② 効果
比較的ゆっくりで、1〜2ヶ月で効果があらわれます。
③ 副作用
主な副作用は皮疹、腎障害(タンパク尿)があります。腎障害やタンパク尿は自覚症状がないため、定期的な血液検査や尿検査が必要です。
他には血液障害(顆粒球減少)、間質性肺炎などがあります。
また、特徴的な副作用として黄色爪症候群があります。薬を中止すれば元に戻ります。


④ 用法
1回100mgを1日1回から少量で開始します。
1ヶ月後に副作用がないことを確認して、1回100mgを1日2回に増量します。






参考文献
最後まで読んでいただきありがとうございました!リウマチや血液の病気などの別の記事も参考にしていただけると幸いです。