
乾癬で治療中なんだけど、関節が痛むことがあります。
乾癬と関節の痛みって関係あるんですか?



乾癬という皮膚の病気に関節の炎症を合併することがあるんです。
リウマチと似た病気に、乾癬性関節炎という病気があります。リウマチとは違う特徴があり、治療の内容も異なります。
この記事を読めば、乾癬性関節炎の原因や治療法、日常生活を送る上で気をつけるポイントがわかると思います。
- 乾癬とは、皮膚に炎症が起こり慢性の経過をとる自己免疫疾患の一つです。
- 乾癬性関節炎とは、乾癬に関節炎、指趾炎、体軸関節炎、付着部炎などを合併する病気です。
- 乾癬性関節炎の診断は、皮膚科やリウマチ科での診察と画像検査で行います。
- 乾癬性関節炎の治療は、NSAIDsやcsDMARDs、生物学的製剤、JAK阻害剤などの投薬を行います。
1. 乾癬とは?


乾癬(かんせん)とは、皮膚に炎症が起こり慢性の経過をとる自己免疫疾患の一つです。
典型的な症状は、皮膚から少し盛り上がった赤い発疹の上に、白いフケのようなものがくっついてポロポロとはがれ落ちます。皮疹が出やすい部位は、外からの機械的な刺激を受けやすい頭皮、髪の生え際、肘、膝、臀部、下腿伸側などです。爪にも病変が出やすく、爪が分厚くなったり、剥がれたり、くぼみができたり、白色から黄色に変化したりします。


他の人に感染する病気ではありませんので、ご安心ください。
2. 乾癬性関節炎とは?


乾癬性関節炎とは、乾癬に関節の腫れや痛み、指の腫れ、背中やアキレス腱などの痛みを合併する病気です。
乾癬性関節炎には、以下のような特徴があります。
- 日本の乾癬の患者数 約42万人(日本人の約0.3%)
- 乾癬の10~15%に関節炎を合併
- 30~50歳代に多い
- 男女比はほぼ同じ
- リウマチと違い、進行は緩徐
- 乾癬の診断後に関節炎を発症が多い … 約70%
- 関節炎が先行することもある
3. 乾癬性関節炎の症状
乾癬性関節炎の症状は、大きく分けて4つあります。
- 末梢関節炎
- 腱付着部炎
- 指趾炎
- 体軸関節炎
- その他の症状
3-1. 末梢関節炎


末梢関節炎(まっしょうかんせつえん)とは、主に手や足の指の第1関節(DIP関節)を中心に、左右非対称に関節が腫れたり、痛んだりします。
関節炎が続くと骨の破壊が起こったり、新たな骨が形成されたりして、徐々に関節の破壊が進行します。
3-2. 腱付着部炎


腱付着部炎(けんふちゃくぶえん)とは、アキレス腱などの腱や靭帯が骨につく場所に痛みや腫れを起こします。
起床後の歩行時に踵の痛みを感じることが多いです。
3-3. 指趾炎


指趾炎(ししえん)とは、手や足の指がソーセージのように腫れる、指炎を起こします。
足の第3・4趾によくみられます。
3-4. 体軸関節炎


体軸関節炎(たいじくかんせつえん)とは、脊椎や仙腸関節という腰の付け根の関節に炎症がおこり、腰痛や背部痛を起こします。
体軸関節炎によっておこる腰痛は、安静時に強くなり、動き出すと改善するという特徴があります。進行すると、首や腰の動きが制限されます。
3-5. その他の症状
乾癬では、皮膚や関節以外にも以下の症状を認めることがあります。
- 眼
- 眼の痛みや見えにくさなどのぶどう膜炎や結膜炎


- メタボリック症候群
- 糖尿病
- 脂質異常症
- 高血圧症


特に、乾癬の患者さんではメタボリック症候群による心血管病のリスクが高くなることが報告されています。よって乾癬という病気は、皮膚や関節以外にも全身の様々な合併症を考慮しながら治療を進めていくことが重要です。
4. 乾癬性関節炎の原因
乾癬の原因として、遺伝的な影響と環境的な影響によって免疫系の異常が生じ、慢性的な皮膚の炎症をおこしているものと推測されています。
乾癬になりやすい遺伝子を持っているかどうか(遺伝的な影響)とストレスや食生活(脂肪の多い食事、酒や辛いもの)、たばこ等などの生活習慣(環境的な影響)が関わることで発症しやすくなると考えられています。
乾癬は遺伝するの?


乾癬は遺伝性の病気ではないので、親が乾癬だから子供も必ず乾癬になるということはありません。乾癬患者さんの子供が、乾癬を発症する確率は5%と報告されています。
5. 乾癬性関節炎の診断


乾癬性関節炎を診断するために、問診や皮膚科やリウマチ科での診察、レントゲンや超音波などの画像検査で皮膚や関節、脊椎などの病変をチェックします。
1かつ2を満たせば乾癬性関節炎と診断
- 関節炎、脊椎炎、腱付着部炎のいずれかの存在
- 以下の項目の3点以上
- 乾癬皮膚病変
- 現在または過去の乾癬(現在の乾癬は2点)、乾癬の家族歴(1、2親等)
- 爪病変
- 爪甲剥離(そうこうはくり)、陥凹(かんおう)、角化亢進
- RF陰性
- 指炎
- 傍関節骨新生
- 手足のレントゲンで見られる傍関節部骨増殖
- 関節近縁の近くに不明確な骨化として見られる(骨棘の形成は除く)
- 乾癬皮膚病変
乾癬性関節炎では、皮膚症状より先に関節症状を認めたり、自分自身では皮膚症状に気づいていなかったりするため、診断が遅れてしまう場合もあります。
また、乾癬性関節炎に特異的な採血検査はありません。CRPなどの炎症反応は、上昇しないこともあるので注意が必要です。
6. 乾癬性関節炎の治療


乾癬性関節炎の治療の目標は、皮膚症状を良くすること、関節の痛みのない日常生活を送れること、関節の変形をおこさせないことです。そのために大事なことは早期診断、早期治療です。
- csDMARDs
- リウマトレックス®(メトトレキサート)
- アザルフィジン®(サラゾスルファピリジン)
- 生物学的製剤
- TNF阻害薬
- レミケード®(インフリキシマブ)
- ヒュミラ®(アダリムマブ)
- シムジア®(セルトリズマブ)
- IL-12/23阻害薬
- ステラーラ®(ウステキヌマブ)
- IL-17阻害薬
- コセンティクス®(セクキヌマブ)
- トルツ®(イキセキズマブ)
- ルミセフ®(ブロダルマブ)
- ビンゼルックス®(ビメキズマブ)
- IL-23阻害薬
- トレムフィア®(グセルクマブ)
- スキリージ®(リサンキズマブ)
- イルミア®(チルドラキズマブ)
- TNF阻害薬
- JAK阻害薬
- リンヴォック®(ウパダシチニブ)
- PDE4阻害薬
- オテズラ®(アプレミラスト)
6-1. 末梢関節炎、付着部炎、指趾炎、体軸関節炎


- 非ステロイド抗炎症薬やcsDMARDsで治療を開始します。
- 付着部炎と体軸関節炎では、csDMARDsの効果がないため使いません。
- 効果不十分な場合は、生物学的製剤(TNF阻害薬、IL-12/23阻害薬、IL-17阻害薬、IL-23阻害薬)やJAK阻害薬、PDE4阻害薬を開始します。
- 皮膚病変が顕著な場合は、IL-12/23阻害薬やIL-17阻害薬が推奨されています。
- 体軸関節炎では、IL-12/23阻害薬の効果は認められていません。
6-2. 皮膚病変


- ビタミンD軟膏やステロイド軟膏の外用を行います。
- 重症型では、紫外線を用いた光線療法やメトトレキサートを使用します。
- 効果不十分な場合は、生物学的製剤の使用が推奨されています。
- 生物学的製剤はIL-23阻害薬、IL-17阻害薬、次にTNF阻害薬、次にIL-12/23阻害薬が推奨されています。
7. 日常生活を送る上で気をつけるポイント
乾癬性関節炎とは、長い間付き合っていかなければなりません。
以下のポイントに気をつけながら、病気と上手に付き合っていきましょう。
- 衣類は締め付けの少ない、柔らかい素材のものにしましょう。
- 感染の皮疹の出現を抑えます。


- 肌の乾燥を防ぎましょう。
- 保湿することで乾癬の悪化を防ぎます。


- バランスの良い食事と適度な運動を心がけましょう。
- 肥満やメタボリックシンドロームを予防します。


- 定期的に通院しましょう。
- 診察と投薬で病気の管理が必要です。


- 禁煙しましょう。
- タバコは乾癬が増悪したり、薬が効きにくくなる。

