膝の痛みはご高齢の方に多い症状の一つです。なぜなら、膝関節は年月を経て摩耗していくため、歳を重ねると膝の軟骨がすり減って骨同士がこすれ合ってしまうからです。
特に「歩くと膝が痛む」「膝に水が溜まってしまう」などの症状で自覚されることが多いです。
しかし、膝の痛みは加齢による変化だけでなく、関節リウマチが原因のこともあるので注意が必要です。
膝の痛みは主に以下の原因が考えられます。
考えられる原因
- 変形性膝関節症
- 痛風
- 偽痛風
- 関節リウマチ
- リウマチ以外の膠原病
- 化膿性関節炎
目次
1. 変形性膝関節症

- 変形性関節症とは、年齢とともに関節の軟骨が減り、骨と骨とが当たり痛みを感じる病気です。
- 40歳以降の女性に多く見られます。
- 症状は「膝が曲がって、O脚になっている」「膝の内側が痛い」「膝にすぐに水がたまる」などです。
- 治療 … 鎮痛薬や関節内注射、リハビリを行い、改善がない場合は手術を検討します。
変形性関節症が起きやすい関節


2. 痛風

- 痛風とは、尿酸の結晶が関節内で炎症を起こす病気です。
- 痛風のおこる関節は足の親指の付け根(約75%)がほとんどですが、中には足首や足の甲、膝などに生じることもあります。
- 圧倒的に男性に多い病気です。
- 治療 … 発作時は整形外科で鎮痛剤を、再発予防には内科で尿酸降下薬を投与します。
3. 偽痛風

- 偽痛風(ぎつうふう)とは、ピロリン酸カルシウム二水和物の結晶が関節内で炎症を起こす病気です。痛風と同じような関節炎を起こしますが、高尿酸血症が見られないことから名付けられました。
- 起こりやすい関節 … 膝に多く、他には肩や足首、手首などにも起こります。
- 特徴はご高齢の方で大関節に急に強い痛みや腫れ、発赤が起こります。ときに複数の関節が同時に痛むこともあります。
- 治療 … 発作時は鎮痛剤を投与します。
4. 関節リウマチ

- 関節リウマチは、自分の免疫がまちがえて関節に炎症を起こしてしまう、多発性の関節痛を起こす代表的な病気です。
放っておくと、軟骨や骨がこわれて関節が変形してしまいます。 - リウマチは手や足の指の関節だけでなく、膝に炎症が起こることもあります。
- 「膝を動かさなくても痛い」「膝が腫れていて、熱をもっている」「手や足など他の関節も痛む」などはリウマチの可能性があります。
- 治療 … 内服薬や皮下注射の投与を行います。
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5. リウマチ以外の膠原病

- 膠原病とは、全身の皮膚や内臓に炎症を起こす自己免疫性疾患の総称です。
- 代表的な膠原病
- 全身性エリテマトーデス:発熱や皮疹、関節痛、腎炎などが起こす
- シェーグレン症候群:目や口が渇く
- 全身性強皮症:皮膚や内臓(肺や血管など)が硬くなる
- 筋炎:全身の筋肉や皮膚に炎症を起こす
- 混合性結合組織病:全身性エリテマトーデス様・強皮症様・筋炎のうち2つ以上の症状が混在
- 血管炎:全身の血管に炎症を起こす
- 関節リウマチとの違い … 皮膚の症状や目や口の渇き、腎障害などの関節以外の症状が目立ちます。また、血液検査では抗核抗体が陽性になったりします。
- 治療 … 免疫抑制剤などの薬で病気を抑えます。
6. 化膿性関節炎

- 化膿性(かのうせい)関節炎とは、細菌が皮膚表面の傷などから関節の内部に侵入し、関節で炎症を起こす病気です。
- 起こりやすい関節 … 膝に多く、ほかには股関節、肩、足首などに起こります。
- 関節リウマチとの違い … 一つの関節に、急に強い痛みや腫れ、発赤が起こります。
- 治療 … 整形外科で関節に針を刺して、細菌を確認することで診断し、抗生剤を投与します。
7. 膝が痛いときは何科を受診すればいいの?

このように、膝が痛む原因は様々です。
鎮痛剤で様子を見てよいものもあれば、早急に治療が必要なものもあります。
ご自身で判断するのは難しいと思いますので、関節痛でお困りの際は1人で悩まずに、クリニックや病院で調べてもらいましょう。
- 膝だけが痛い
- 変形性関節症の可能性が高いので、まずは整形外科で診てもらいましょう
- 急に膝だけが痛い
- 痛風や偽痛風、化膿性関節炎の可能性があるので、整形外科で診てもらいましょう。
- 膝以外にも手の指や足などの関節が痛む
- 関節リウマチや他の膠原病の可能性があるので、リウマチ科を受診しましょう。
参考文献