血液疾患の患者さんがお家で療養する時に、ご家族として心配になる「食事」について解説します。
「食べてはいけないものはありますか?」
「食欲がない時はどうすれば良いですか?」
血液疾患の治療で化学療法(抗がん剤)を行うことがあり、患者さんの体力や免疫力は大きく低下するため、食事に対する注意がとても大切です。
また、血液疾患自体で食欲が落ちたり、免疫力が低下することもあります。食べ物が患者さんの体にどんな影響を与えるのか気になるところですよね。ここでは、患者さんの食事で気をつけるポイントをご紹介します。
1. バランスの取れた食事を心がける
血液疾患の治療中は、体力を維持し、免疫力をサポートするために、栄養バランスの取れた食事が重要です。また、血液を作るためには食事から十分な栄養を摂取しなければなりません。
特に以下の栄養素を含む食品を取り入れるよう心がけましょう。
- タンパク質:筋肉や体力を維持するため、肉、魚、卵、大豆製品などをバランスよく摂取します。
- 炭水化物:エネルギーの元となるため、ご飯やパンなどの主食も大切です。
- ビタミン・ミネラル:免疫力をサポートするために、野菜や果物を積極的に食べましょう。
無理に多く食べる必要はありませんが、栄養が偏らないようにすることが大切です。
2. 衛生面に注意する
血液疾患に対する化学療法中は、白血球が低下することにより免疫力が低下します。食べ物からの感染リスクが高くなるので、以下の点に注意して食事の安全性を確保しましょう。
- しっかりと手を洗う:料理をする前や食べる前に手をしっかり洗うことで、感染リスクを減らしましょう。
- 生ものを避ける:生魚(刺身や寿司)、生卵、生野菜などの食材は感染リスクがあるため、避けるのが無難です。加熱調理をすると良いでしょう。
- 食材の新鮮さを確認する:賞味期限や消費期限を守り、古い食材は避けるようにしましょう。
化学療法の種類によって気をつける点が異なるので、必ず主治医に確認しましょう。
3. 水分を十分に摂る
治療中は食欲が低下することが多く脱水症状になりやすいため、十分な水分補給が必要です。
大人の場合、体重1kgにつき約35mlが1日に必要な水分量と言われています。つまり、体重50kgの人は1.7L、60kgの人は2.1L程度です。1日の水分量には、飲水量だけでなく、食事からとる水分も含まれます。
水やお茶、スープなどでこまめに水分を摂るようにしましょう。
ただし、カフェインが多く含まれるコーヒーや緑茶には利尿作用があるため、1日2~3杯に留めた方が良いでしょう。
またジュース類や炭酸飲料、スポーツドリンクなど糖分が多く含まれる飲み物は、血糖値が上がるため大量に飲むのは避けましょう。
4. 消化の良い食事を選ぶ
白血病の治療中は、消化器官が弱っていることがあり、胃腸に優しい食事が望ましいです。
脂っこいものや刺激が強い食べ物は避け、以下のような食事を選ぶと良いでしょう。
- 柔らかく煮た野菜やおかゆ
- 脂肪分が少ない白身魚や鶏肉
味付けは薄めで、胃に負担をかけないもの患者さんが食べやすい食事を準備することが、体調管理のサポートになります。
5. 食欲がない時は無理せず、食べやすいものを
治療中は食欲が低下することも多く、無理に食べさせようとするとストレスになります。食欲がない時は、少量でも栄養価が高く、消化の良いものを取り入れるようにしましょう。
- ゼリーや果物:水分補給と栄養が同時にできるため、体に優しい選択です。
- ヨーグルト:タンパク質が豊富で、消化にも良い食品です。
- 栄養補助食品:食事と併用することで不足した栄養素を補います。味の種類は豊富で、ゼリーや飲料タイプなど好みで選ぶと良いでしょう。薬局やAmazonで購入できます。
まとめ
急性骨髄性白血病の患者さんの食事は、バランスの取れた栄養と衛生面の両方に気を配ることが大切です。
家族としては、患者さんの体調に合わせて無理のない食事を提供し、免疫力をサポートすることが最も重要です。
食事に関して不安がある場合は、主治医や栄養士に相談しながら、患者さんにとって最適な食事を心がけていきましょう。
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