【手のこわばり】リウマチ科医が原因や対処法についてわかりやすく解説

手のこわばりとは、「関節の動かし始めがスムーズにいかず、ぎこちない」ことを指します。手のこわばりの原因には、ばね指、ホルモンの変化、加齢、関節リウマチなどがあります。手のこわばりが30分以上で、6週間以上続くようなら、関節リウマチの可能性があります。手のこわばりが続く場合は、リウマチ科、膠原病内科や整形外科で調べてもらいましょう。

最近、朝起きると手がこわばるんです。
すぐに良くなるんだけど、気になるのよね。

それは心配ですね。
手のこわばりには色々な原因があります。
症状が続くようなら、一度病院で調べてもらいましょう。

この記事のまとめ
  1. 手のこわばりとは、「関節の動かし始めがスムーズにいかず、ぎこちない」ことを指します。
  2. 手のこわばりの原因には、ばね指、ホルモンの変化、加齢、関節リウマチなどがあります。
  3. 手のこわばりが30分以上で、6週間以上続くようなら、関節リウマチの可能性があります。
  4. 手のこわばりが続く場合は、リウマチ科、膠原病内科整形外科で調べてもらいましょう。
目次

1. こわばりとは

こわばりとは、「関節の動かし始めがスムーズにいかず、ぎこちない」ことを指します。多くの場合、睡眠中は身体や関節をほとんど動かしていないため、起床時に自覚します。

手の指だけでなく、手首や、足首、肩、膝などの関節でこのような動かしにくさを感じる方もいらっしゃいます。

軽く体操したり、関節を伸ばしたりして解消されるようでしたら、心配はありませんが、こわばりが30分以上で、6週間以上続くようなら、関節リウマチの可能性があります。ただし、手の「こわばり」は関節リウマチの患者さんに多い症状ですが、指のこわばり=関節リウマチとは限りません

2. こわばりの原因

手がこわばる原因として、ばね指、ホルモンバランスの変化、むくみ、冷えなどがあります。また、手がこわばる病気は、変形性関節症や関節リウマチなどの膠原病などがあります。

こわばりの原因
  • ばね指
  • ホルモンバランスの変化
    • 産後・更年期
    • 甲状腺ホルモン
    • 副腎皮質ステロイド
  • 加齢(変形性関節症)
  • 膠原病
    • 関節リウマチなど

2-1. ばね指

ばね指とは、指を曲げるための腱が炎症を起こし、指が痛んだり、こわばったりするようになります。進行すると指が曲がったまま元に戻らず、変形してしまうこともあります。
ばね指は単独で生じる場合と、関節リウマチなどによって生じる場合があります。

診断は、指の付け根に膨らみや圧痛があり、ばね現象の有無を確認します。
治療は、局所の安静や鎮痛剤、局所のステロイド注射などがあります。それでも改善しない場合やばね指を繰り返す場合は、手術を検討します。

2-2. ホルモンバランスの変化

女性では、産後や更年期に女性ホルモンのバランスが大きく変化します。このホルモンバランスの乱れによって、「朝、手がこわばる」という症状が現れることがあります。

また、甲状腺機能低下症などの内分泌疾患や副腎皮質ステロイドで治療中の方が減量している時にも、ホルモンの変化によって手のこわばりを感じることがあります。

リウマチとの違いは手足のほとんどの関節に痛みを感じますが、関節が腫れることはありません

治療は、更年期障害や甲状腺機能低下症に対してホルモンを補充します。

2-3. 加齢(変形性関節症)

手の指の第1関節に生じる変形性関節症を「へバーデン結節」、手の指の第2関節に生じる変形性関節症を「ブシャール結節」といいます。

関節がゴツゴツと出っ張っていたり曲がったりします。進行すると指の動きが悪くなり、強く握ることが難しくなります。また、関節の痛みを伴うこともあります。
第1関節の近くに水ぶくれのような出っ張りができることがあり、これをミューカスシスト(粘液嚢腫)と呼びます。

診断は、レントゲンや超音波検査で関節の隙間が狭くなったり、骨棘(こつきょく)の存在を確認します。
治療は、局所の安静や鎮痛剤、局所のテーピングなどがあります。それでも痛みが改善しない場合や変形で日常生活に支障をきたす場合は、手術を検討します。

2-4. 関節リウマチ

膠原病とは、自分の免疫が自分のカラダを攻撃してしまう病気のことで、自己免疫性疾患とも呼ばれています。

膠原病の中でも、手足の変形を生じる最も代表的な病気は「関節リウマチ」です。
関節リウマチは、全身の関節に炎症が起こる病気で、関節の痛み・腫れ・こわばりなどの症状が生じます。30~50代で発症するケースが多く、男性よりも女性によくみられます。  

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2-5. リウマチ以外の膠原病

  • 膠原病とは、全身の皮膚や内臓に炎症を起こす自己免疫性疾患の総称です。
  • 代表的な膠原病
    • 全身性エリテマトーデス:発熱や皮疹、関節痛、腎炎などが起こす
    • シェーグレン症候群:目や口が渇く
    • 全身性強皮症:皮膚や内臓(肺や血管など)が硬くなる
    • 筋炎:全身の筋肉や皮膚に炎症を起こす
    • 混合性結合組織病:全身性エリテマトーデス様・強皮症様・筋炎のうち2つ以上の症状が混在
    • 血管炎:全身の血管に炎症を起こす
  • 関節リウマチとの違い … 皮膚の症状や目や口の渇き、腎障害などの関節以外の症状が目立ちます。また、血液検査では抗核抗体が陽性になったりします。
  • 治療 … 免疫抑制剤などの薬で病気を抑えます。

3. こわばりを感じたら何科を受診すればいいの?

手のこわばりが続く場合には、それが関節リウマチの初期症状かもしれません。これまでに感じなかったこわばりが続く場合、リウマチ科、膠原病内科や整形外科を一度受診するとよいでしょう。

関節リウマチが原因で手のこわばりがある場合、早期に発見し適切な治療をすることが大切です。一人で悩まずにお早めにご相談ください。

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参考文献

つか
医師・医学博士。
専門はリウマチ膠原病内科と血液内科です。
これまで大学病院や訪問診療で、関節リウマチと血液疾患の患者さんの診断・治療・自宅療養のサポートをして参りました。
リウマチと血液疾患で悩む患者さんに、笑顔と安心を届けることが私の使命と考えています。
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